私の探偵哲学
古い映画になりますが、「ハスラー2」(1986年 主演ポール・ニューマン)というビリヤードのナインボールを題材にした作品があります。
冒頭でナインボールについてのナレーションがあります。
ナインボールは番号順に球をポケットに落とす。
勝負を決めるのは9番の球である。
8球をモノの見事に決めても9番を外せば負ける。
最初、球をブレイクした時に9番を入れると、それで勝つ。
つまりナインボールは運のゲームだ。
― だが時には ―
― 運も芸術である ―
このめちゃくちゃカッコいいナレーションにしびれてしまいます。
そしてこの哲学は、
探偵業務にも当てはまると思ってます。
探偵業務において
あらゆる状況を予測し、
想定しながら尾行します。
対象者にとっては必然的な行動であっても、探偵からすれば、どの様な対処をしなければならないかは運の様なものです。
そうした中で如何に無駄なく、合理的に調査を進行させることができるか?
そこには経験値が必要なのです。
場合によっては全力ダッシュしなければならない尾行もあります。
ほんの一瞬目を離しただけで見逃してしまう様な神経を使う張り込みや、シャッターチャンスが数秒しかない撮影もあります。
集中力、体力、気力を十分に兼ね備えていなくてはなりません。
浮気調査では
対象者によって浮気相手と会う頻度は様々
ほぼ毎日会うカップルもいれば、週1~2回、月イチや2~3ヵ月に1回なども。
会う日が特定できる場合もあれば、特定できない場合もある。
更には、接触する頻度は多くても、ホテル利用や相手宅に宿泊する状況等、不貞行為が成立する状況になるとは限らない。
つまり、ミス無く調査をこなしても
証拠が撮れなければ任務達成ではない。
それでも調査方法はひとつ。
張り込み、尾行、撮影です。
1回の調査を堅実にこなす。
手を繋ぐほどの仲であることを確認したが、食事だげけして別れた。
相手の顔、手を繋いでいるツーショットを撮影しておく。相手が身元不明者の場合は居住先を判明させておく。
ナインボールで球を順番にポケットに落としてゆくように、一歩一歩結果に近づけてゆく。
かと思えば、初日の調査で
あっさり不貞証拠を掴むことがある。
まさにブレイクショット!
これらを「ハスラー2」のナレーションに絡めて運と表現しましたが、もちろん運とひと括りにするつもりはありません。
良い結果を、しかも効率良く出すには、運という要素を含みながらも、その基には豊富な経験と質の高い技術が必要です。
エディ(ポール・ニューマン)がゲームで勝ちをとった時、こみ上げる喜びを小さくガッツで噛みしめる場面があります。
浮気調査で決定的瞬間を捉えた時、そんな気持です。
探偵業務における運も芸術的に
それを目指してやってます。
まさにナインボールです。
- 尾行中などで電話に出れないことがあります。
その際は時間を開けて再度ご連絡いただけると助かります。